付き合ったばかりのころ? なアスクロ。
アス→クロ(どうしたらいいかわからない)でクロ→アス(どうしたらいいかわからない)な感じ。
お前らとっとと結婚しろw
* straight→ *
彼女のいつもの癖がでた。
あるときは自室で、あるときは執務室で、またあるときは街を見下ろせる屋上で。
凹凸のないなめらかな白い額にわざわざ皺を作り上げ、綺麗な瞳は何かに対して力強く降り注ぐこともなく、そのままの姿で時間を食いつぶした挙句、金糸を震わせ頭を振るのだ。
「何か気にかかることがあるのではないのですか?」
「何もない」
「そうは見えないのですが……先程から気難しい顔をなさってます」
「もとからこういう顔なんだ」
「そんなことはありません! 今は何か思いつめたように思えます」
「何もないと言っているだろう、相変わらず強情だな」
「それはクロデキルド様だって」
「……ふぅ」
「俺では頼りにならないのでしょうか」
「頼りにしているよ。頼りになる、ならないではなくて」
「では、なんなんです?」
「だから何もないって……」
これがあなたのいつもの癖。
あなたは悩みも心配事も全部独り占めにして、他へ分け与えようとしてくれないのだ。
『あなたがだいじにしているものをください』と頭を下げてお願いしても、『そんなものはありません』と拒む。
『だいじなもの』を背中の後ろに隠して、そんなものはもとよりないと胸を張る。
背中の後ろからはみだしているのに。
今回こそどうしても分け与えてほしくて、その日の夜に交渉手段を考えた。
翌朝早起きをして、リハーサルまで実施した。
昨日の延長戦なのか、彼女の癖は今日も続いている。
「やはり何か悩みがあるのでしょう?」
「しつこいな。何もないと昨日言わなかったか?」
「昨日も、訓練場で一人で溜息をついていたではないですか」
「よく見ているな」
「そ、それは。あなたが気になるからです」
「気にしなくていいと言っているだろう?」
「気にしてはいけませんか」
「いけないとまでは言っていないが、その必要はないと言っている」
「どうしてもですか?」
「どうしても、だ」
「……なら、仕方ありません」
歩幅ひとつぶん彼女へ近づき、肺ふたつぶん酸素を吸い込む。
「な、なんだ?」
「一晩考えて、決めました」
頭を下げてお願いしてもくれないのであれば、強引に奪い取ります。
「……アスアド、何の真似だ」
「き、強行手段です」
「いや、よく分からないのだが……」
「はなしてくれるまで、はなしません」
「ん、なんだって?」
「あっ、だ、ダジャレではないですよ。クロデキルド様がお悩みを打ち明けてくれるまで、俺はこの腕をほどかないと決めたんです」
「……そうか」
「分かってくださいましたか」
「ああ、お前の意思は伝わった」
腕の中で見上げる女王は、久々に優しい顔をした。
「では、話してくださいますか?」
「いや?」
「えっ」
このあと『仕方ないな』とため息をついて、とっておきの話を聞かせてくれるという計画だったはずなのに。
どこで失敗したのか、未来は想定しない方向へと進んでいく。
ひとり先を行く女王は胸の内を明かすことなく、するりと顔を引っ込めた。
「……あの」
「ん?」
「いや……ええと」
「私が話すまで離さないのではなかったか?」
「は、確かにそう言いましたが」
「腕の力が緩んでいるようだが」
「……すいません」
「……ふふ」
「あの、それでクロデキルド様……お話は」
「なんのことだ?」
「『なんのことだ』って……これでも教えてくださらないのですか」
「何も話すことはないと、はじめから言っているが?」
「……」
彼女は、なかなか自分の悩みも心配事も打ち明けてくれない。
だけど、いつの間にやらいつもの癖をとりやめてしまっている。
はじめから悩みや心配事なんてなかったのか、それとも―――。
眼下では、綺麗な金色の髪の毛がふんわりと揺れている。
その揺れにあわせるかのように、自分の体内伝いに聞こえる耳障りな律動。
もっと早起きをすべきだった。
それで、もっとリハーサルを重ね、心臓のスピードを一定速度に保つ手法を自分のものにしておけばよかった。
神頼みなど、らしくないけれども。
どうかこの鼓動が、女王に感づかれませんように。
両腕の緊張が、愛しい人に伝わりませんように。
話してぶちまけるよりも、ただぬくもりや安らぎがほしい、そういう気分のときもある。
そういうお話で。
にしても、うちの赤い子はほんとお馬鹿な子に思えてきた……
こんなんじゃかっこよさコンテスト勝てないよ!(何に出る気だ
あるときは自室で、あるときは執務室で、またあるときは街を見下ろせる屋上で。
凹凸のないなめらかな白い額にわざわざ皺を作り上げ、綺麗な瞳は何かに対して力強く降り注ぐこともなく、そのままの姿で時間を食いつぶした挙句、金糸を震わせ頭を振るのだ。
「何か気にかかることがあるのではないのですか?」
「何もない」
「そうは見えないのですが……先程から気難しい顔をなさってます」
「もとからこういう顔なんだ」
「そんなことはありません! 今は何か思いつめたように思えます」
「何もないと言っているだろう、相変わらず強情だな」
「それはクロデキルド様だって」
「……ふぅ」
「俺では頼りにならないのでしょうか」
「頼りにしているよ。頼りになる、ならないではなくて」
「では、なんなんです?」
「だから何もないって……」
これがあなたのいつもの癖。
あなたは悩みも心配事も全部独り占めにして、他へ分け与えようとしてくれないのだ。
『あなたがだいじにしているものをください』と頭を下げてお願いしても、『そんなものはありません』と拒む。
『だいじなもの』を背中の後ろに隠して、そんなものはもとよりないと胸を張る。
背中の後ろからはみだしているのに。
今回こそどうしても分け与えてほしくて、その日の夜に交渉手段を考えた。
翌朝早起きをして、リハーサルまで実施した。
昨日の延長戦なのか、彼女の癖は今日も続いている。
「やはり何か悩みがあるのでしょう?」
「しつこいな。何もないと昨日言わなかったか?」
「昨日も、訓練場で一人で溜息をついていたではないですか」
「よく見ているな」
「そ、それは。あなたが気になるからです」
「気にしなくていいと言っているだろう?」
「気にしてはいけませんか」
「いけないとまでは言っていないが、その必要はないと言っている」
「どうしてもですか?」
「どうしても、だ」
「……なら、仕方ありません」
歩幅ひとつぶん彼女へ近づき、肺ふたつぶん酸素を吸い込む。
「な、なんだ?」
「一晩考えて、決めました」
頭を下げてお願いしてもくれないのであれば、強引に奪い取ります。
「……アスアド、何の真似だ」
「き、強行手段です」
「いや、よく分からないのだが……」
「はなしてくれるまで、はなしません」
「ん、なんだって?」
「あっ、だ、ダジャレではないですよ。クロデキルド様がお悩みを打ち明けてくれるまで、俺はこの腕をほどかないと決めたんです」
「……そうか」
「分かってくださいましたか」
「ああ、お前の意思は伝わった」
腕の中で見上げる女王は、久々に優しい顔をした。
「では、話してくださいますか?」
「いや?」
「えっ」
このあと『仕方ないな』とため息をついて、とっておきの話を聞かせてくれるという計画だったはずなのに。
どこで失敗したのか、未来は想定しない方向へと進んでいく。
ひとり先を行く女王は胸の内を明かすことなく、するりと顔を引っ込めた。
「……あの」
「ん?」
「いや……ええと」
「私が話すまで離さないのではなかったか?」
「は、確かにそう言いましたが」
「腕の力が緩んでいるようだが」
「……すいません」
「……ふふ」
「あの、それでクロデキルド様……お話は」
「なんのことだ?」
「『なんのことだ』って……これでも教えてくださらないのですか」
「何も話すことはないと、はじめから言っているが?」
「……」
彼女は、なかなか自分の悩みも心配事も打ち明けてくれない。
だけど、いつの間にやらいつもの癖をとりやめてしまっている。
はじめから悩みや心配事なんてなかったのか、それとも―――。
眼下では、綺麗な金色の髪の毛がふんわりと揺れている。
その揺れにあわせるかのように、自分の体内伝いに聞こえる耳障りな律動。
もっと早起きをすべきだった。
それで、もっとリハーサルを重ね、心臓のスピードを一定速度に保つ手法を自分のものにしておけばよかった。
神頼みなど、らしくないけれども。
どうかこの鼓動が、女王に感づかれませんように。
両腕の緊張が、愛しい人に伝わりませんように。
話してぶちまけるよりも、ただぬくもりや安らぎがほしい、そういう気分のときもある。
そういうお話で。
にしても、うちの赤い子はほんとお馬鹿な子に思えてきた……
こんなんじゃかっこよさコンテスト勝てないよ!(何に出る気だ






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